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2009年12月21日 (月)

我らの誇り

Jユースカップ準々決勝ガンバ戦の決勝ゴールは激情を起こさせるものだったようだ。松尾潤氏がJ's GOALに寄稿した文章は実際に観戦していたサポからは事実と反した部分があり、美化しすぎだとの声もあるようだが、キャプテン中田航平の「やるしかねぇよ」「止めて下さい」-この2つの言葉は紛れも無い事実だろう。その言葉に秘められた思いもまた本心だろう。ならば、その言葉だけを記憶しておこう。横浜ユース2009の誇らしい思い出の一つとして。

 
 

君達の最後の試合を現地で見れなかったのは本当に残念だ。トリコロールとしての君達の挑戦はひとまず区切りを迎えたが、いつか再びトリコロールの君達に会いたいと思う。ピッチ上でもいい。観客席でもいい。もちろんフロントでもいいよ(笑) 

お疲れさま、ユース2009。そして、ありがとう、ユース2009。これからのそれぞれのチャレンジが実り多きものになることを祈ります。

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試合に勝ったG大阪、自らに勝った横浜FM。

「止めて下さい」
試合後、一部の観客が発したG大阪の2点目に対する不満の声に対して、横浜FMのキャプテン・中田航平は大きな声で言った。その一言を聞いて「凄い」と思った。彼が言うのなら納得するしかないと思わせる言葉だった。

80分のG大阪の決勝ゴールは2つの感情を刺激するゴールだった。直前のプレーで痛んだ横浜FMのGK・鈴木椋大はプレーを切るために自らボールを蹴り出そうとしたが、痛みのために完全に蹴り出すことができなかった。そして、ピッチ内を転がるボールをG大阪の選手がロングシュートでネットを揺らした。横浜 FM側からすれば暗黙の了解でプレーを切り、シュートはしないと思う場面だが、G大阪側からすれば1-1で競り合っている中でGKがどれほど痛んでいるのかはっきり分からない状況ではピッチ内を転がるボールに反応することもありうる。ルール上は何も問題ないゴール。暗黙の了解の解釈の仕方が違うだけに誰もが納得できる裁きをこのシーンに下すことは誰にも出来ない。それが決勝ゴールになってしまっただけに大人だって判断に悩む。絶対に解決しないと思って残りの10分間を見ていた。終了直後にピッチに倒れ込む横浜FMの選手。G大阪の選手が喜ぶことなく、横浜FMの選手を労わっていた姿を見ても、両者が難しい感情の中にいたことが分かる。

立ち上がりは横浜FMがテンポのいいパス回しで主導権を取り、5分には樋川愛輔のダイナミックなロングパスが松本翔に通り、先制点が決まる。小気味よくパスが繋がるたびにサポーターが「オーレ」と声を出し、「オーレ」の声とともに主導権が続くかと思われた。しかし、サイドへのプレスを強めて主導権を奪い返そうとするG大阪が23分に関皓平のミドルシュートで追いつくと、徐々に横浜FMのリズムは失われていった。ボールを奪い返す出足も遅くなってG大阪のシュートシーンが増えていく。G大阪のFW原口拓人(2年)のドリブルをなかなか止められないから、カバーで守備のバランスが崩れやすくなったが、GKの鈴木を中心によく守り、何とか膠着状態を保っていた。今年のチームはクラブの本拠地であるMM(横浜みなとみらい21)のジュニアユースよりも横須賀市追浜にあるジュニアユース出身の選手が多く主力になっていて、「横須賀FM」なんて冗談が出そうなほど追浜の育成力が向上していることを証明している。1年を通じて結果を残してきたチームだっただけに、このチームから主導権を奪い返したG大阪の底力の凄さを感じさせられる展開でもあった。

そんなときにG大阪の勝ち越しゴール(80分)が決まった。その瞬間、多くの人が「えっ」と思った。しかし、レフリーはゲームを止めていなかったし、ルール上プレーは続いていた。ちょっとした齟齬が生んだ大きな決勝ゴール。しかし、横浜FMのキャプテンの中田はレフリーに抗議することなく、悔しさを心の中に押さえ込んで「やるしかねぇよ」とチームメイトに声を掛けた。ボールをセンターサークルに戻して横浜FMの選手はプレーを再開した。しかし、逆転することも延長戦に持ち込むことも出来ずに3分間のロスタイムが終わってピッチに倒れ込んで泣いた。

試合後、中田は「残り10分間、気持ちを切り替えてやるしかないと思ったから『やるしかねぇよ』と言いました。(試合後、一部の観客が発したG大阪の2点目に対する不満の声に対して)『止めて下さい』と言ったのはとっさに出た言葉です。サッカーにこういうことがあることが悔しいけれど、素直に受け止めようと思います」と言った。とっさの判断でこれだけのリーダーシップを取れるのは素晴らしく凄い。G大阪相手という意味ではなく、人を育てるという仕事で横浜 FMは勝利した。単にサッカーが上手い人間を輩出するのではなく、中田航平のようなキャプテンがいるということが育成の勝利だと思う。

両チームの選手のサッカー人生はここが頂点でもないし、ここで終わりでもない。G大阪の関皓平が言った「次は横浜FMの分も頑張りたい」という言葉と、横浜FMの中田が言った「内容はG大阪がよかった。素直に受け止めようと思う」という言葉で解決すると思う。大人が解決できない問題だったが、G大阪が相手を思いやり、横浜FMが受け止めることでサッカーというスポーツが素晴らしいということを両チームの選手が勝敗だけではない部分で表現してくれた。両チームの選手にとって、絶対に役立つ経験だったと思う。

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